我が国の離婚件数は、1983年に17万9千件を記した後に、88年には15万4千件まで減少しました。しかし1990年代以降、離婚件数は再度急増し、2002年には29万件と10数年で倍増を遂げています。
さて離婚に直面した時に必ずといっていいほど発生するのが金銭問題です。離婚に際して発生する金銭問題は、主に次の3項目から成っています。

■1,清算的財産分与
⇒清算的財産分与とは、基本的に共働き・専業主婦を問わず、夫婦が協力して得た財産の全てを、離婚時に5割ずつ分け合うもので、離婚後2年は請求可能です。
その対象となるのは、代表的なもので現金・不動産・有価証券などがあり、例えば「親から相続した財産」、「他人から贈与された財産」、「結婚前に持っていた財産」などは、その対象にはりません。

■2,慰謝料
⇒慰謝料とは、暴力や浮気などによって離婚することになった時に、その精神的苦痛に対する損害賠償のことを指し、離婚後3年は請求可能です。
例えば離婚理由が配偶者の浮気である場合、慰謝料額は夫婦の婚姻期間、子供の有無、浮気をしていた期間や頻度、支払い能力、財産分与の割合などから算出されます。
慰謝料の額に相場はありませんが、裁判離婚による慰謝料(財産分与額含む)の相場は300〜500万円と言われています。その他に浮気相手への請求も可能で、おおよそ100〜200万円くらいが相場であると言われています。

■3,養育費
⇒子供が成人するまでの諸費用で、請求に対する時効はありません。
通常、子供が20歳になるまで支払い続け、大学などに進学した時は、卒業まで支払う事が一般的です。
子供一人あたりに支払う養育費は、通常月2〜6万円であるといいます。

では仮に、我々探偵に浮気調査を依頼し、浮気の証拠収集に成功したと仮定して、その調査に掛かった費用というのは、慰謝料として相手方に請求することが可能なのか?

答え:慰謝料増額の根拠にはなりますが、探偵費用を全額請求し、それが必ず認められるケースは少ないようです。
これはあくまで浮気の事実を立証するために掛かった経費であり、慰謝料を請求する直接の原因にはならないからです。このような探偵費用まで慰謝料として認めてしまうと、範囲が際限なく広がってしまうという見解のようです。

ここで皆さんがよく勘違いなさっているポイントを一つご紹介いたします。
実は、離婚の慰謝料は必ずもらえるものではありません。「離婚=慰謝料」ではないのです。よくテレビのワイドショーや週刊誌で、有名人が離婚する際に「慰謝料××億円」といった報道を目にしますが、これは財産分与・慰謝料・養育費(上記項目の1,2,3)のいずれか、または全てを報道していることが多く、これは慰謝料の持つ本来の意味とはまるで違います。
慰謝料とは、離婚の原因を作った方が支払うもので、どちらに非があるかはっきりしない時は慰謝料の請求はできません。
具体的に言うと、「性格の不一致」「親族と折り合いが悪い」など離婚原因がお互いにある場合は慰謝料の請求は認められない場合が多く、逆に浮気や日々の暴力などを離婚原因として挙げた場合は、その事実が明白ならば精神的苦痛を受けたものと判断され、離婚や慰謝料の請求も可能です。
世間一般では財産分与・慰謝料・養育費の全てを「慰謝料」と呼んでいるケースが多く、例えば財産の多い有名人等の場合は、当然に財産分与額だけでも高額となるわけですから、勘違いしないよう注意が必要です。

◇公正証書
慰謝料・財産分与・養育費など、金銭の支払いに関する事項について双方で取り決め、それを文書化したものです。この公正証書には裁判所の判決と同様の強制力、拘束力を持っており、公正証書で取り交わした事項が守られなかった場合、守らなかった方は「強制執行」という形で、裁判所から給料や財産の差し押さえなどの措置が執られます。(公正証書の中に「強制執行されても異議ありません」という一文が入っていることが必要。※強制執行認諾条項)
離婚後の金銭問題については「いくらもらえるか」より「ちゃんと支払われるのかどうか」の方が重要な問題になります。文書を取り交わすことなく口約束のみで離婚をしてしまいますと、特に主婦の方などは金銭面において圧倒的に不利な立場に立たされます。より早く離婚をし、新しい環境で生活をしたいところでしょうが、新たに生活をしていく上でお金のことも重要な問題です。そのためには双方できちんと話し合いをし、お金のことについても合意がなされた上で離婚することが賢明であると思います。
尚、公正証書を作成する際には「民法第754条を適用しない」という一文を入れておくことが重要です。第754条は「夫婦間の契約の取消権」についての条文であり「夫婦間で取り交わした契約は、婚姻中いつでも夫婦の一方からこれを取り消すことができる」とされているため、公正証書で取り交わした文書も破棄することが可能なのです。そのための措置として、上記の一文を入れておくと良いでしょう。